2012年11月15日木曜日

ブラピにして下さい…

「Ocean」John Butler



昨日髪の毛を切ってきた。
ボクはいつも岩見沢の和みという温泉の中にある美容室で髪を切り、そのまま温泉に入って帰るスタイルだ。

ボクが始めてそこを訪れた時、ボクの髪をカットしてくれる事になったその女性はどこかクールで、カワイイというよりカッコイイ感じの綺麗な小柄な店員さんだった。

ボクに「髪の毛どうしますか?」と聞く店員さん、ボクは「ブラピにして下さい…」と言うと、店員さんは下を向き「はい、わかりました」と言った。
もともと美容師さんと話すのが苦手なボクだが、ブラピのせいで一気に気まずくなった。

しかし不思議なのはブラピも色んな髪型の時があるのに、なぜいつのブラピかも聞かずにはいと言ったのだろう。

ボクはそんな事を考えながら、もしかしたら坊主の時のブラピになるかもしれないという恐怖と、もしかしたらブラピになれるかもしれないという期待と、もう帰りたいほどの気まずさの中、ボクはそっと目を閉じた。
そう、切り終わるまで決して目を開けないという呪文を自分にかけたのだ。

もちろん来てすぐにブラピにしてと言い、始まりから終わりまでずっと目を閉じてるボクに店員さんが話しかけるはずもなく、ボクは暗闇の中、気まずさとおしゃべりしながらただ時が過ぎるのを待った。

そして「終わりました」と言うアンジェリーナ・ジョリーの声とともに目を開けると、ずっと目を閉じていたせいで、なんか鏡に映っている自分がボヤけて目をパチパチしても治らなかった。
しかしボヤけてるせいかブラピに見えなくもない。
ボクは「完璧です」と言い、会計をすまして温泉に行った。

温泉の鏡で髪をいじりながら自分を見たら、ブラッド・ピッドと言うよりジェット・リーだった。
それ以来ボクは髪の毛を切る時はその店員さんを指名してカットしてもらっている。

しかし未だに会話はゼロだ。
でも今はお互い長年連れ添った夫婦のように会話はなくても繋がっているみたいな信頼感と安心感、そして始めの頃の気まずさはなく、逆にボクは少し落ち着くという不思議な感覚を楽しんでいる。

会話はなくてもお互いの事を知らなくても、違う風に生きてる人生が不思議な縁でどこかで出逢う。
ボクが色んな美容室に行けば、色んな人と出逢える。
でもそれじゃあ気まずい人が何十人も増えるだけ。
ボクは縁を大切にして、気持ちが落ち着く居場所を時間をかけて作っていくタイプだ。

そしてボクが誰かに落ち着きや楽しさや感動を与えれる存在になれたらそれは最高だ。





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